arrow_back 福岡県政の問題
カツアゲ疑惑

ポストを金で買うシステム

議長・副議長のポストが、事実上カネと派閥の差配で決まっていたのではないかという疑い。

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「渡した」と証言した議長・副議長経験者

7人 2026.10.02 時点

議長・副議長への就任をめぐり、自民党県議団の幹部らに現金を渡した・費用を負担したと証言した人たち。実名で証言しているのは3人で、ほかは各社の取材に匿名で答えている。

  1. 吉松源昭
    実名で証言
    よしまつ もとあき 吉松源昭
    元議長
    2020年6月〜2021年6月(第70代)
    自由と繁栄の会 (当時 自民党県議団) 糟屋郡
    渡したとする額 計2,000万円超

    議長就任の前後に、自民党県議団の幹部へ現金を渡した。名目は他会派への根回しの懇親ゴルフ代、料亭での「お車代」など。領収書は一切なし。要求された際の録音音声と、資金調達のための計1,000万円の借用証書を保有していると説明。

    format_quote カツアゲされたようなもの
    報道:2026.07.05 西日本新聞ほか
  2. 江藤秀之
    実名で証言
    えとう ひでゆき 江藤秀之
    元副議長
    2020年〜2021年
    自民党県議団 飯塚市・嘉穂郡
    渡したとする額 計825万円

    当時の県議団幹事長・中尾正幸氏から「副議長就任に500万円いる」と言われ、紙袋で手渡した。ほかに料亭での懇親会で幹部5人への「お車代」50万円×5人=250万円。ゴルフ代名目の負担は吉松氏と折半した。

    format_quote 長年の慣例として必要なお金であると認識していた
    報道:2026.07.10 TNC・日経ほか
  3. 樋口明
    実名で証言
    ひぐち あきら 樋口明
    元議長(自民党・現職県議、自民党県連前幹事長)
    2017年5月〜2018年5月
    自民党県議団 福岡市南区
    負担したとする額 計約600万円

    2016〜17年、議長就任の前に、ゴルフ代などの名目で計約600万円を負担したと会見で証言。内訳は「蔵内会」と呼ばれるゴルフ会の費用約150万円、自分は参加していないゴルフ会の費用300万円、自民党県議団幹部との食事会の代金・お車代の全額、フランス料理店での新年会の食事代全額など。「議長に就任するために現金を渡したことも受け取ったこともない」としつつ、応じなければ議長就任が危ぶまれたと説明。

    format_quote 慣例に従って負担したが、正しいものではなかった
    報道:2026.10.02 西日本新聞・KBC・共同通信(実名3人目)
  4. person
    匿名
    元議長
    元議長(自民党・現職県議)
    自民党県議団
    渡したとする額 300万円

    議長就任前の冬、議会棟で自民党県議団の幹部に手渡した。「県議団の議会運営のため、慣習として200〜300万円が支払われている」と思っていたと説明。幹部からの要求や指示はなかったとしている。

    報道:2026.07.11 TNC・読売新聞
  5. person
    匿名
    副議長経験者
    副議長経験者(民主系会派の元県議)
    民主系会派
    渡したとする額 500万円

    副議長就任前に、自民党の重鎮へ現金500万円を渡した。ほかに宿泊付きゴルフの費用など100万円超を負担したと証言。

    報道:2026.07.11 TNC・読売新聞
  6. person
    匿名
    元副議長
    元副議長(他会派)
    他会派
    渡したとする額 500万円

    就任前に、蔵内勇夫氏へ直接手渡したと証言。歴代の副議長経験者も多額の現金を渡していたと聞いたといい、「上納金のようなイメージ」と語った。ほかに宿泊・航空券つきゴルフの費用100万円超も負担。

    format_quote 不適切なカネでその職に就くのはおかしいと思ったが、流れに抗しきれなかった
    報道:2026.07.15 毎日新聞(証言5人目)
  7. person
    匿名
    副議長経験者
    副議長経験者(民主会派)
    民主会派
    渡したとする額 500万円

    副議長就任から半年ほど過ぎたころ、県議会の会議室で当時の会派会長に預けたか、会長と一緒に持参して自民の誰かに渡したと証言。詳しい経緯は「記憶が飛んでいて覚えていない」とした。

    format_quote 「副議長イコール500万円」という話が、議会の雰囲気としてあった。あしき慣習に、自分も抗しきれなかった
    報道:2026.09.03 朝日新聞(6人目)

朝日新聞(2026年9月3日)の「証言した議長・副議長経験者は6人目」に、10月2日の樋口明氏の会見(実名3人目)を加えて7人。匿名の証言は各社が別々に報じており、一部が同一人物である可能性がある。

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「渡した先」とされる側

証言で名前が挙がった人たち。いずれも金銭授受を否定している。あわせて、直前まで議会運営を担っていた前議長も掲載する。

  • 蔵内勇夫
    くらうち いさお
    蔵内勇夫
    前議長・元自民党福岡県連会長
    自民党県議団 筑後市
    block 否定 logout 2026.08.25 辞職

    疑惑を「事実無根」と否定。当選10回で「県議会のドン」と呼ばれた。辞職勧告決議案の採決が中止された後、8月25日付で議長・県議を辞職した。

  • 香原勝司
    こうはら かつじ
    香原勝司
    第73代議長(2023.5.15〜2025.4.11)
    自民党県議団 直方市
    more_horiz 説明なし

    蔵内前議長の一代前の議長で、疑惑が表面化する直前まで議会運営の責任者だった。金銭授受をめぐる本人の説明は、報道では確認できていない。

  • 松本國寛
    まつもと くにひろ
    松本國寛
    自民党福岡県連会長・当時の県議団会長
    自民党県議団 遠賀郡
    block 否定 logout 県連会長を辞任へ

    複数の正副議長経験者が「就任前に現金を渡した」として名前を挙げている相手。「事実無根」と否定。金銭授受疑惑をめぐる県連の対応が批判され、8月30日の県議団臨時総会で「私が守るべきは県民や党員党友の信頼であり、自らの立場ではない」と述べた。県連会長を辞任する意向を固め、9月5日の執行部会で表明する見通し。

  • 中尾正幸
    なかお まさゆき
    中尾正幸
    前副議長・元県議団幹事長
    自民党県議団 北九州市若松区
    block 否定 logout 2026.07.24 辞職

    吉松氏が「1,000万円を要求された」、江藤氏が「500万円いると言われた」とする相手。「私はお金を受け取っていない。事実無根だ」と否定し、吉松氏を名誉毀損で告訴・提訴する方針を表明。要求時とされる録音音声は専門機関の鑑定で「同一人物の可能性が高い」「改竄・編集痕は見られない」とされた。県政の混乱の責任を取るとして7月24日付で辞職。

  • 原口剣生
    はらぐち けんせい
    原口剣生
    当時の自民党県議団会長
    自民党県議団 久留米市・うきは市
    block 否定

    吉松氏に現金を求めたとされる点を全面否定している。

  • 松尾統章
    まつお とうしょう
    松尾統章
    自民党県議団会長
    自民党県議団 北九州市八幡西区
    block 否定

    正副議長ポストをめぐる金銭授受は「ない」としている。

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“2段階”のカツアゲ構造

①
県職員 arrow_forward 県議

県職員が県議に“奉仕”。

  • › 毎月、給与天引きでパーティー券を購入(年約20万円)=お金のカツアゲ
  • › 休日は県議のレクリエーション(野球・ゴルフ等)のボランティア=時間のカツアゲ
  • › 県議を「先生」と呼び、入退室時には起立して見送る“主従関係”
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②
県議 arrow_forward 自民幹部

県議は自民党県議団の幹部へ現金を渡していたと証言。

  • › 議長2,000万円〜副議長500万円で正副議長のポストを“カツアゲ”(相場)
  • › 日常的にゴルフ代・接待費・お車代など、数百万円単位の負担
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証言の構図

証言者
吉松源昭県議(2020年6月〜議長)/江藤秀之県議(同時期の副議長)/樋口明県議(2017年5月〜議長、10月2日に会見)が実名で証言。
証言内容
正副議長就任の前後に、自民党県議団幹部へ現金計約2750万円を渡した。
名目
「他会派への根回し」のための懇親ゴルフ代・飲食代・お車代など(本人が参加しないゴルフの費用も)。
渡し方
議会棟の応接室などで、袋や菓子折りに入れて現金を手渡し。領収書は一切なし。
物証
幹部とのやり取りの録音音声/資金調達のための計1000万円の借用証書。
相手方の主張
現金を求めたとされる原口剣生県議(当時県議団会長)は全面否定。受領側とされる幹部らも「知らない」「記憶にない」。
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2750万円の内訳

2018年12月
他会派との懇親ゴルフ費用 550万円。本人は不参加。
約半年後
同名目で追加要求 1000万円。友人からの借金で工面し、1年後に返済。
2020年4月
料亭懇親会の「お車代」 250万円。1人50万円×5人を菓子折りに入れて手渡し。
2020年4月下旬
湯布院1泊ゴルフの費用 400万円。
2020年
江藤氏の副議長就任時の負担 500万円。
合計
約2750万円(ほかに飲食代等の小口負担も)。
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「ポストを金で買うシステム」の構造

相場
議長1,000万〜2,000万円・副議長500万円という相場が、複数議員の証言で一致。
隠語
「汗をかく」=会派のための資金負担。2期生の頃から懇親会費などの請求が「文化」として継続。
回収装置
就任祝賀会で「元が取れる」との幹部認識。パーティー券等で回収する構図。
1年交代の慣例
本来任期4年の正副議長を毎年交代 → 毎年“相場”のカネが動く。
拒否できない力学
「拒否すれば党から外される恐怖感」(吉松氏)。歴代議長も同様の負担をしてきたとの複数証言。
一言でいうと
「全員が共犯であり、全員が人質だ」。
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県職員の退職急増 —「主従関係」

退職の急増
福岡県庁で中堅職員の退職が急増。2024年度は58人が自己都合等で退職。
「主従関係」への嫌気
県と県議会の「主従」のような関係に嫌気が差して職場を去った職員も。
“過剰な奉仕”
県議のレクリエーション野球・ゴルフ大会や、葬儀・パーティーの受付などを県職員が担う。
県民への影響
「人材の流出が続けば、いずれ割を食うのは県民だ」との懸念。
質問の横取り
予算・決算委員会で他会派の質問内容を県職員に事前提出させ、自民議員が先回りして質問。「手柄は自民党に」という運用。
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法的・政治的な論点

公職選任の私物化
選挙で選ばれるべき正副議長ポストが、事実上カネと派閥の差配で決まっていたのではないかという疑い。
資金の不透明性
渡した側に領収書なし。収支報告書に不記載なら政治資金規正法の問題、個人受領なら贈与税(脱税)の疑い。
第三者委員会
吉松氏は日弁連指針に基づく第三者委員会の設置と、無駄が判明した場合の税金の返還を要求(記者会見)。
県政の自浄能力
知事・議会は第三者委設置に消極的。議会改革PTも「過去は検証しない」姿勢と批判されている。

ほかの県政の問題

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